「メイド・イン・バングラデシュ」観てきました

太郎です。

先日、「メイド・イン・バングラデシュ」という映画を観てきました。マイナー映画なのでトップガンみたいな全国一斉ロードショーではなく。単館上映っていうんですかね、岡山県で上映されるシアターは1か所だけ。それも1週間のみ。

大まかなストーリーは、バングラディッシュの縫製工場で働く女性が劣悪な労働環境を変えようと労働組合を結成しようとする、というもの。トロント国際映画祭やイスタンブール映画祭など世界各地の映画祭に出品された作品。縫製する人間にとっては興味深い映画。

ということで観た感想を紹介します。ネタバレ含まれるのでご注意ください。

感想いろいろ

2019年に公開(日本は2022年)なので、2~3年前から企画が動いてたのかなぁと想像。2015年にアパレル製造の問題を撮った「The True Cost」が公開されているので、多かれ少なかれその影響もあるんじゃないかと。

主人公はシムという縫製工場で働く女性。ビジュアルは例えるなら眼力が強いNOKKOさん。13,14歳で働き始めて3つの工場を渡り歩きながら6年くらい縫っているそう(たしか)。そんな彼女が、縫製工場での火災や残業の支払いで職場への不満が溜まっていき、労働組合を結成しようと立ち上がるわけです。ジャンヌダルクです。

The True Costがアパレル製造の問題を洗い出したのに対して、このメイドインバングラデシュはそういった状況を改善しようと立ち上がった現場の女性達を描いた作品です。一応この映画も労働組合を結成した女性の実話を基に作成されているそうです。

ということで、以下思ったこと感じたことを箇条書きに書いていきます。

  • 映画冒頭シーンの火災の原因がアイロンの電源ケーブルの接触不良からの発火。アイロン怖し。
  • 縫製工場で働いてるのって女性ばかりですよね。映画の中のセリフで「女性の方が支配しやすく男性より安く働かせられる」というのがありました。うわぁ…。ちなみにこの映画の監督も女性です。
  • JUKIのミシンを多くみかけた。Brotherやヤマトもあった。JACKミシンもあった。
  • バングラディッシュは女性のショートカットが少ない?「ショートカットは男みたい」というセリフがあったので、そういう文化なのかも
  • バングラディシュでは「ハイ」と手を挙げるポーズが、手のひらを前に見せずににするみたい。ウルトラマンのスペシウム光線の右手の感じ。新鮮。
  • ミシンやアイロンなど設備がボロッボロ。セットはリアルに縫製工場だったところを借りたのかしら。
  • 映画全体を通して、暗い。出演者の服の色味もカラフルと言えばカラフルなのだけど、濃いめ&暗めのカルフルさ。それが深みがあってバングラディッシュぽくていいのだけれど。
  • バングラディシュにも労働法があるらしい
  • Tシャツを縫っているシーンが多い。地縫いが結構おおざっぱな感じだけど…大丈夫かしら?
  • 日本語の「はい」がベンガル語の「ジ」らしい。
  • 手で食べる文化の国の昼休みってこんな感じなんだ。
  • スマホのカメラで職場を隠れて撮るシーン、露骨すぎてバレそうですけど…

この映画の見どころ

見どころは「バングラディシュの貧困のリアル」でしょう。

映画の中で「月にTシャツを1600枚(?)縫って月収がそのTシャツ2~3枚」みたいな会話があり。恐らく月収5000円もいかないのでしょう。

縫製士の女性たちの貧困の描き方がリアルで。主人公はスラム街に住んでいて、エアコンなんてなくて、給料もギリギリだから家賃も2か月延滞してて…。大家さんに家賃の滞納を責められたり…。旦那はなかなか働かない…。見ててしんどい…。

縫製工場では深夜まで働いて、職場で寝る日も。職場で寝ないといけない日、工場長(?)の男性が扇風機のスイッチを切るんです。電気代の節約のため。それを見た工員たちが工場長に食って掛かるんですね、スイッチをつけろと。日常的にバトルがある環境…たくましいというか過酷というか…。

一方、現地の結婚式のシーンがあるんですけど、参加者みんな美味しい物食べて踊って楽しそう。あーこういう感じなんだーって。こういう生活の風景がリアル。監督がバングラディシュの女性なので色んなリアルを知ってるんですね。

The True Costでは縫製士の一人一人の生活までは掘り下げて見れなかったけれど、この映画ではフィクションとはいえとても詳細に生活が描かれています。私がここで生きろと言われたらできないことはないでしょうけど過酷ですね。エアコンのない夏はもう…。

工員は貯金もそんなにないでしょうし、ミシンで指縫ってもきっと病院に行くような体制にはなってないでしょうね。いかにお金を稼げるか、頭の中のほとんどはそれでいっぱいと想像します。生活に余裕がない、というのはそういうことです。きっと「この服を着る人が笑顔になれるように」なんて考える余裕はないはず。縫製工場以外で良い給料で楽に働ける職場があれば、何の迷いもなくそっちに転職するでしょう。日本と違って海外では転職の心理的ハードルは低いし、金銭感覚がシビアです。

所得が低い国々は、大なり小なり似たような側面を持っています。今後将来、バングラディシュやベトナムなど東南アジア諸国の人口が増えて経済発展し、所得が上がった時に縫製工場で働こうという人がどれだけいるか…。これまで日本に来ていた技能実習生も、わざわざ人口減少で円安で英語が通じにくい国に縫製業で来日しようと思うか…。ちょっと考えちゃいました。

衝撃のラスト(ネタバレ)

労働組合を結成しようと働きかけていた主人公のシムがついにラストシーンで承認を得るんですが、その承認のとり方がかなり強引というか半ば脅迫気味。仕方ないですね、日本のようにお行儀いい行政の国の方がレアケースです。でもまぁ承認(サイン)を得た後のシムの表情が勝ち誇るでもなく何とも言えない強い表情でGood。

で、労働組合の承認を得てさぁいよいよこれから工員達の人権を守るべく労働組合を立ち上げるぞ!…と思ったら

スタッフロールが始まりました。

で、そのままエンディング。

え?これから縫製工場に未払いの残業代請求するんでしょ?!工場長に復讐するんでしょ?

スカっとしたいのに!

そこ描かれないのぉぉぉ?!

そうなんです、役所での労働組合の承認サインをゲットしたそこで映画が終わったんです。

復讐のスターマイン待ってたんですけどぉぉ!

最後のフィナーレのスカットジャパンを期待されてたら肩透かしで終わってしまいました。なぜそこを描かなかったかは分かりません。時間が足りなかったのかもしれませんし、大したドラマ性がなかったのかもしれません。この映画の趣旨が労働組合を結成するまでのストーリーなので、結成してからの様子は重要ではないと判断したのかもしれません。

ということでラストシーンがある意味衝撃的でした。

さいごに

バングラディシュの生活を見て、大変そう…と感じました。ただ、あくまでも映画内の描かれ方なので実際はどうなのかは分かりません。そしてこの映画を撮った頃のバングラディッシュと今現在のバングラディッシュでは状況は違ってるかもしれません。というか変わってることを期待してます。

コメントを残す

Translate »