太郎です。2017年に茨城県から岡山に移住してGジャン縫ってます。
ここしばらく移住ブームですね。コロナでさらに加速した感があります。今なら東京から地方に移住したら補助金が貰えるそうじゃないですか。いいですねぇ。
私は岡山県倉敷市に移住して5年になりますが改めて倉敷に移住を決めた理由と住み心地について感想を書きたいと思います。移住先を探している方、倉敷市もいいかもと思い始めた方、ご参考にどうぞ。
倉敷に決めた理由①「県民性が自分に合ってた」
私、2015年に東京から岡山まで歩いてデニムの色落ちを調べるという試みをしました。
東京タワーからスタートして岡山県倉敷市にあるJR児島駅の前まで歩きました。1000km以上を40日ちょっとで。で、各地を歩いてるとその土地の雰囲気が生活者目線で見えてくるんです。これって車で通りすぎるだけだと分からないし、バイクや自転車でも難しいと思います。歩くからこそ見えてくるんです。
何が分かるのか。
まず電柱や民家に貼られているチラシが目に入ります。「ポイ捨て禁止」とあれば、あぁポイ捨てが多い地域なんだな、と。「変質者に注意」とあれば、なるほどそういう治安なんだなと気づかされます。そういう気づきがいたるところで起こります。他にも
- 道行く人に話しかけられる頻度
- 高架下の落書きから分かる地元住民の本音
- 服装のオシャレ感
から読み取れる気づきがいっぱい。京都と奈良を歩いてる時に思ったのは奈良の商売っ気のなさ。太っ腹というか。あくまでも京都と比べて、ですが。鹿せんべいが50円くらいで売られてて(当時)、「もっと高くていいのに!」て思いました。
色々歩いて思ったのは
日本各地そこまで変わらない
ということ。
「あ、ここの風景、茨城の地元にあるスーパー横にそっくり」みたいのがしょっちゅうあるんです。デジャブ感だらけ。イオンがあったらもうどの地方だろうがイオンになっちゃいます。
当時は将来移住するなんて考えてませんでしたが、途中から住むならどこがいいかという視点で歩くようになってました。
宿泊はゲストハウスに泊まってました。ゲストハウスは何がいいかって、宿主の人と話すことができたりするんです。もちろんそうでないゲストハウスもありますが。そうするとその地域に住んでる人の生の意見が聞けるわけです。それも1人だけじゃなくて2人3人と話していくとフィーリングが合う人が多いのかどうかも分かってきます。
で、歩いて色んな人と話して分かったんです。
倉敷か姫路は自分に合ってる
と。
フィーリングです。姫路はほどよく品がよくて、倉敷は話しやすい人が多かった。ただそれだけですが。
自分、学生時代も特に目立つ人じゃなくて、野球部やサッカー部、バスケ部みたいなイケイケの部に入ってたわけじゃなく、かといって誰とも話さないような静かなキャラでもなく。ほんと普通の子でした。だから普通っぽい人と話すのが居心地いいんです。倉敷の方に怒られるかもしれないんですけど、普通っぽい人が多い気がします。県民ランキングとかでも岡山ってだいたい真ん中あたりじゃないですか。「県民ランキングで真ん中にありそうランキング」があったらトップとれると思います。
で、結局デニムを縫う仕事で起業をしたのでジーンズで有名な倉敷の児島に移住したわけです。
倉敷に決めた理由②「ほどほど都会」
倉敷市は人口47万人。十分な規模。児島にももちろん病院もあるし学校もスーパーもあります。東京から歩いてる時思いましたもん。場所によってはホントに何もないところあります。というかそういう地域いっぱいあります。
移住するならある程度大きい地方都市がいいです。去年まで児島の駅周辺に住んでましたが、その時は「埼玉に住んでた時とあんまり変わらない」と思いました。色んな地方を見た中でも児島は都会です。
そういや今月児島に来来亭がオープンしたりスーパーのデュオが開店したり、駅前に高層マンションが建ったりしてます。投資が活発だと感じてます。
倉敷に決めた理由③「デニム産業」
私の場合、これが決め手。特に児島はアパレル製造業者の集積地。生地屋さん、ミシン屋さん、裁断屋さん、パタンナーさん、縫製工場、特殊屋さん、仕上げ屋さん、加工屋さん、資材問屋さん…などなど。小さな区画にこれだけ業者さんが集結してる産地は日本全国あまりないと思います。
スマホ1台あれば服が作れる
なんて誰かが言ってました。スマホで業者さんにお願いしていけば服が作れる、と。確かに。
しかも児島にはジーンズストリートのように販売する店舗まであります。児島という地域自体がブランド化してます。これって起業して仕事する上でとても有難いこと。
児島の図書館に行くと洋裁やアパレル関連の本がすごいたくさん。2棚くらいはありますかね。私の地元の茨城県取手市の図書館は洋裁の本、少なかったなぁ。産地の特色が図書館の蔵書に現れてます。
そして倉敷市主催で服作りの研修やセミナーが児島で頻繁に行われてます。シャツの縫い方とか工業用ミシンの使い方とか製品トラブルの対処方法などなど。こういう研修、他の地域ではあまりないですよね。倉敷は繊維産地なので税金の使い道もそういう分野に使われるんです。
アパレル産地にいる、という恩恵は服作りがしやすい、というだけではなくて情報も得やすいし、人的交流も得やすいです。岡山がデニムの産地、特に児島はデニムが有名となると全国からデニム好きが集まります。デニム好きの情熱が集まりやすいとも言えます。そしてその情熱同士が切磋琢磨して全体として盛り上がるわけです。吉本興業に面白い芸人さんが多いのは、吉本興業に面白い芸人さんが集まるからなんです。
全国に自治体は多数ありますが、全国的に名の知れた名物がある自治体がどれだけあるでしょうか。児島はジーンズがあります、学生服があります。1個以上あるだけで十分強力です。しかも”Jeans”はどこでも通用する世界共通ワードです。海外に行っても「私の住んでる児島の特産品はジーンズです」って自己紹介すれば相手の外国人はWowってテンション大きめに理解してくれます。売ろうと思ったら海外にも売れる、そんな商品が地域の特産品って強いと思いませんか。
あ、あと決定的に決め手になったのはインキュベーションの存在。でもそれは長くなるので別記事をご参照ください。
倉敷に決めた理由④「地震が少ない」
関東に住んでた時は2011年の震災以降しょっちゅう揺れを感じました。でもこっち来てから地震にあう機会がめっきり減りました。地盤が強いそうです。あと海に面しているのですが内海なので津波の心配もそんなにないです。高潮がちょっと怖いくらい。
倉敷は過去に真備で水害が発生しました。ただ、水害に関してはあれ以降特に発生していませんし対策も打たれているようです。どの地域に住んでも天災の心配は尽きないものです。その中でも比較的倉敷は安定してる方だと思います。
結局、倉敷に移住して…どう?
倉敷に移住して丸5年。「合ってるなぁ」というのが感想です。自分が移住する前に感じていたフィーリングは大方間違ってませんでした。もちろん倉敷が合わない人もいるでしょうが、私の場合は合ってました。
これがもし今20代だったらもっとバリバリ働いて自分の力を試したいっていう気持ちが強かったでしょうから、倉敷のこのゆったりとした感じは合ってなかったかもしれません。40代の今だからこそ合ってるのかもしれません。
多分死ぬまで岡山にいるんじゃないかと思います。縫製業も死ぬまで続けたいです。関東に戻る気はまったくありません。そのくらい今の生活には満足してます。あ、海外に住む可能性は….ゼロではない…くらい。
地方に住むと、車がないと不便だったり、大きなイベントが行われない、などそりゃ関東で暮らすのとは違うこともたくさんあります。決して地方だから安く暮らせるというわけでもありません。でも自分に合った土地で暮らすのはホントに幸せです。思い切って移住して良かったなとつくづく思います。