起業を決めた理由4選

太郎です。私、2017年に岡山県に移住してGジャンブランドを立ち上げました。

ブランドと言っても1人で縫って販売している規模なので要は普通の個人事業主です。38歳で起業するまでは全くアパレルと関係ない仕事を転々としていました。そんな私が一念発起して起業したんです。周囲の方に反対されることはなかったのですが、「なんて無茶な…」くらいには思われてたと思います。

実際自分でも不安がゼロというわけではありませんでしたし、今回は単なる起業ではなくて生まれて初めての西日本への移住も兼ねていたので余計に不安要素がありました。売上が立たなかったら…?路頭に迷ったら…?

それでも起業をしたのは、その不安要素よりも強い理由、なんというか悪魔のささやきのような誘惑が自分の頭でグルグル回ってたからです。ということでその悪魔のささやき、もとい起業を決めた理由を4つ紹介いたします。

悪魔のささやき①「死ぬときに後悔するよ…」

起業した人がインタビューで答えるランキングNo.1じゃないかと。やりたいことをやらないまま死にたくない…!これは心底思ってました。死ぬ間際に「あぁ良い人生だったな…」と思って死にたい。

学生のうちは年上と言っても部活やサークルの先輩とか先生とかバイト先の正社員とか限られた人なので、あんまり自分の将来像のリアリティがないんですよね。でも会社に入ると急に10歳上、20歳上の人達と同じ土俵で生きるようになるんです。「勤め上げて役職が上がるとあの上司みたいになるんだ」とメチャクチャ将来像がくっきり浮かび上がるんです。

その時に思ったんです。このまま歳とったらきっと後悔する。

生き生き仕事してる将来の自分がイメージできませんでした。この生活あと40年は続けられない…。

60過ぎて定年退職したら自由に生きられると言われても、いや60歳まで生きられるか分からないし今の貴重な20代、この時間の使い方でいいんだろうか…と。

悪魔のささやき②「自由に生きたくないかい…?」

尾崎豊じゃないです。自由に生きたいから起業しようなんてろくでなしと紙一重ですが。誰しも願望としてはありますよね。

私はサラリーマンの経験もあるのですが、今考えると合ってなかったのかなぁ…と思います。満員電車が非日常で楽しかったのも新卒1か月だけで、残業が続くと電車で帰るのがホントにイヤで。金曜の夜に終電で帰ると電車が人身事故で遅れてたり、それでみんなイライラして、酔っ払った乗客が喧嘩始めたりするんです。もうやめて…。今は通勤ストレスゼロです。というか通勤がないです。

会社員として働いてる時は日曜の夕方が憂鬱でした。かの有名なサザエさん現象です。いや、日曜夕方というか日曜の朝から憂鬱でした。そして休日に旅行に行っても「あぁ休み明けの朝のうちにあのメールを返信して…」と頭の中でグルグル回って心の底から楽しめませんでした。週休二日の意味が…。

今は週休2日どころか休みなんてありません。でも全然こっちの方が楽です。自分で働く時間を決められますから1日中働くこともありますし、突然一日休んじゃうこともあります。先日は一週間まるまる旅行に行ってました。

会社員のときは平日が憂鬱でしたけど、起業してからは逆に平日が待ち遠しくなりました。平日の方がみんな仕事してるから楽しい。車も空いてるから運転しやすい。

会社員してる時、メンタルを病んで休職してる方の話を噂で聞いたりすると、そこまでしてそこで働く必要ってあるのか…と考えました。命より大事な仕事なんてないです。

ただ、自由に生きたいから起業する、というのは成功しにくいとも思います。起業して成功してる人って会社員としても優秀だった人が多いです。いや…多いかどうかは分からないか…。会社員としてはポンコツだったけど起業して覚醒した人はいます。なんなら結構います。自分もそうかも。

一応書いておくと、自営業だからって決していつも自由に生きているわけではありません。やりたくない作業だって当然あるでしょう。でもそれは断らなかった自分の責任なので、たとえ楽しくなくても納得はできてるんです。次からはこう準備しよう、と対策も打てます。

悪魔のささやき③「失敗しても死なないヨ…」

事業で失敗して借金を抱えるようなことになっても、死にません。自己破産して社会的信用を失うことはあるでしょうが命は奪われません。再起すればいいですし、私はその時はまた会社員として働いて少しずつ借金を返そうと決めていました。健康で仕事さえ選ばなければ何かしら働けると信じて。そういう意味だと どうせ起業するなら身体の無理がきく若いうちがいいでしょうね。リカバリーがきく、というか。

私の場合はインキュベーション施設に入居して、そのインキュベーションに高価なミシンが何台もあったので、初期投資を抑えることができました。起業してすぐに何十万円もするようなミシン何台も揃えられないですもん。起業時にインキュベーションに入居できたのが失敗の確率を減らす大きな一歩だったと思います。

そして仮に失敗しても技術は残ります。Gジャンが縫える、という技術は残ります。型紙のデータも残りますし、どこで材料を仕入れて材料費がいくらになるかなどのノウハウも残ります。事業が失敗した後、企業で働きながら副業として縫製業を続けることもできる…と考えました。自分の力で生きていける選択肢が残るというのはどこで働いても安心感や自信につながりますし希望を持って生きることができます。その勤務先で特技として活かすこともできます。

悪魔のささやき④「誰かが先にそのアイディアやっちゃうヨ…」

もしかしたらこれが一番刺さったかもしれません。こんなデザインのGジャンあったらいいのに、自分の着たいGジャンを作りたい、と思って起業したわけですが、同じようなこと考えてる人はいたでしょう。その中の一人でも行動力のある人がGジャンブランドを先に立ち上げたら、私は二番煎じになっちゃう…。

縫製で起業するなら、まずは縫製工場に勤めてアイロン担当になって、サンプル縫いして1着縫えるようになって…というルートがベターというかオーソドックスなルートだと思います。実際そのルートで起業した人はちゃんと仕事を続けて今も十分豊かに生活されてるように思います。

ただ私の場合は先に誰かに実現されてしまうかもしれないという心配と、Gジャンを縫いたいけれど縫製工場ではGジャンはあまり縫えないんじゃないか、という心配がありまして。結局縫製工場で実務経験を積むのをすっ飛ばして1人で起業してしまったわけです。

縫製工場で働いていたらどうなっていたかは分かりません。もしかしたら途中でイヤになってしまったかもしれませんし、ホントに誰かが先にGジャンブランドを立ち上げていたかもしれませんし、バンバン量産できる立派な縫製士になっていたかもしれません。ただ、起業2年目でYouTubeチャンネルを開設して多くの仲間や関係者に出会えたのは、実務経験をすっ飛ばしたことで得た成果だと思います。きっと縫製工場で働きながら休日に撮影して仕事後に編集して…は気力的に難しかったでしょうね…。

理想の起業シナリオ

もし私が10代に戻るのであれば、学生のうちに一回起業…というかビジネスしてるでしょうね。大学か専門学校に行けるんだったら学生のうちに何かモノ作って売りたいです。学生のうちは生活のために働かなきゃ、というケースは少ないと思います。苦学生はそれどころじゃないでしょうが。バイトするなら自分でビジネスします。いや、バイトしながらビジネスするかな…。

現役の学生さんとお話しする時もそういう話します。起業してみては、と。最近は学生起業も珍しくないですし。

でも大半は失敗すると思うんです。それでもいいんです。起業に向いてる人そうでない人がいますし、一度経験することで自分の適性も見えてきます。そして学生のうちの失敗なんて失敗じゃないですし、大きな借金背負わなければ全然OK。ダメだったら就活すればいいですし、就職面接の「学生時代に取り組んだこと」のネタにもなります。事業主の視点で話せる学生なんて面接官にとっては魅力的ですよね。そしてそれは会社員で働き始めてからも活きた経験になります。

学生のうちに起業するのって、リカバリーのしやすさから言ってホントにリスク低いです。実際そういう学生さん多いですよね、今。良い傾向だと思います。

何年か会社員生活をしたらそこで副業として起業することもできます。あぁですから就活するときは副業OKの会社に絞った方がいいですね。起業の手順も学生の時に1度経験しておけば2度目はあらゆる手続きや作業が早くなってます。会社員の経験もそこで活きるので失敗する確率が学生時と比べて下がってます。一度会社員経験をした人の方が廃業せずに長く続いてる、というのも周りで聞く話です。

大学や専門学校なんて無意味だから行かずに起業した方がいいよ、とは言いません。先日母校のキャンパスを訪れる機会があったんですけど、夕方に学生達が校舎を移動しながら話してたり、陸上部の部員が練習で走ってたんですね。それを見た時、あぁみんな凄く素敵な時間を過ごしてるなと思いました。素敵すぎて泣きそうになりました。自分もかつては同じキャンパスで生活していたんですけど、当時はそこまでそんな有難い時間を過ごしている実感はありませんでした。むしろ早く社会に出て自分の力で稼ぎたい気持ちの方が強かったです。でも早めに社会に出て稼いで年を重ねた後でお金が手に入っても、あの学生達の仲間に入れるわけではなく。もちろん社会人入学もできますが同時期に入学した同世代の輪というのはやっぱり独特のテンションがあります。

当時は就活やバイト、卒論の実験などでいっぱいいっぱいな時期で正直戻りたいかと言われれば微妙ですが、でも同世代の仲間とフラットな関係で日々過ごしていた時間はホントに貴重だったなと思います。それは今の自分にもきっと大いに影響を与えた時期でもあります。お金になるかという観点だとさっさと退学してビジネスに力入れてFIREしちゃったら、という話になるんでしょうが、いくらお金を稼いでも歳を重ねてからでは取り戻せない時間もあります。

ちょっと脱線しましたが、大学や専門学校などに行ける環境があるのであれば行ってもいいんじゃないかと思います。そしてせっかく入学したのであれば、起業に焦って退学せずにじっくり学生生活に集中してもいいんじゃないでしょうか。

以上、起業に関する自分の思いをツラツラと書いてみました。ひとつ加えておくと、たまたま自分は起業した働き方が合っていただけです。会社員の方が合ってる人もたくさんいます。会社員の方が定期的に給料がもらえます。風邪ひいて2、3日会社休んでもお給料は出ます。会社が倒産したり解雇されるというリスクももちろんありますが、経済的安定性は絶対会社員の方が上です。

新卒で入った会社の同期も、まだ多く会社で働き続けています。結婚して家庭を持って休日は旅行に行ったりフラダンスしたり…。ある程度キャリア重ねると仕事も楽になってきます。会社員として生き生きと働いている人はたくさんいます。ということで決して起業を勧めているわけではありません。ただ起業を選択した者がどういう心境で起業を決意したのか、それだけ知ってもらえたら幸いです。

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