縫製工賃が上がった後

太郎です。岡山でGジャン縫ってます。

「縫ってほしい」と頼まれても…

コロナ禍をきっかけに国内の縫製工場が忙しくなり、特に小ロットの縫製は仕事で困ることはないと聞きます。縫製需要に対して供給が追い付いていない。

この需要>供給の状態をできるだけ長くキープして、なおかつ縫製士が待遇の良い工場へ転職するようになれば経済の原理で縫製工賃も自然と上がっていくものと期待しております。ですから需要>供給の状態を維持するためにも、利益になりにくい縫製仕事については断らないといけないですし、無理して引き受けて従業員の負担になったら退職されて他の工場に行っちゃうリスクがでてきます。というか物理的に引き受けられる仕事量の限界は決まっているので、それを上回る注文については断らざるを得ませんし、すでにそういう状況にあると思います。引き受けたくても引き受けられないのが今の現状と思います。

縫製の自動化プレッシャー

で、無事縫製工賃の相場が上がったと仮定して…その後どうなるんだろうと考えました。

服の販売価格を上げざるを得ないし、小ロット化が今後も進むであろうしブランドの淘汰も進むであろうことは容易に想像つきます。それらはブランド側が被る影響です。縫製業者は当分仕事に困らないから安泰なのか…と思うとそうでもなく。

自動化の開発が進むんだろうなぁ、と。ロボットとかAIとか。正確には自動化が進むというより、自動化の圧が高まる、と言うべきか。

これまでは人間が縫った方が安かったからあえて巨額の開発費を投じてまでロボットを作るモチベーションがなかったですけど、縫製工賃が上がればロボットの開発費との価格差が小さくなっていきます。ある意味縫製工賃が低かったことがこれまで自動化の参入障壁になってたと言えます。

そんでもってロボットは

  • 一日中働ける
  • 不満言わない
  • 給料要らない(仕事が少ない時も給料いらない)
  • 社会保障いらない
  • 人間関係のトラブル発生しない
  • 製品のクオリティーが均一

などなどビジネス上のメリットが多いです。

自動化なんてできないでしょ

縫製太郎
縫製太郎

いやいやあの面倒な縫製工程をロボットができるわけない。だいたい色んなアイテムや生地があって、それぞれ違う縫い方するのに その都度プログラム組むの? 無駄無駄無駄ァ!

私も実現までには時間がかかるとは思います。というかスイッチひとつでGパンができあがるような機械は…あえて不可能とは言いませんが相当に難しいと思います。縫製業とは関係ないところから汎用的なドラえもんみたいなロボットが誕生したらありえますが。

自動化はできそうな箇所からメスが入ります。縫製工賃が上がればそういうニーズが高くなるわけですから「多少高い機械でも人件費に比べれば安いから買うよ」という工場が増えるわけです。これまでも特殊ミシンの数々はそうやって開発されてきました。縫製工賃が上がればその流れが加速します。

すでにある機械で言えば自動裁断機、ニット縫製ならホールガーメント、CLOなどの3DCADを使ったサンプル作成等々…その導入も進みます。導入当初は色々不具合や慣れない部分、かゆいところに手が届かない不自由さはあるでしょうが、導入業者が増えて開発企業にお金とノウハウが集まるようになるとそれら弱点が徐々に解消されていきます。

縫製に関しては部分部分で自動化や小型化・高性能化が進まないかしら。例えば上糸を交換する時のハタ結びを自動でやってくれる小さい電動機器とか。

他にも縫製とは直接関係ないですが始業前と始業後にやっている床掃除を自動掃除機がやってくれるとか。それだけでも10分×人数分くらいの省人化になります。

そういった小さい自動化で0.1人分自動化できた、次は0.2人分自動化できた…と積み上げていくと、「あ、最終的に1人分余剰人員ができた」「来年の採用人数は1人少なくてもOK」になります。

縫製の自動化を進めている会社と言うと、まさに松屋R&Dさん。株式も上場して間もないですし…注目です。

自動化競争

「縫製業って儲かりそう」と思われると参入者が増えます。その中には「最新の機械を導入して無駄のない縫製すれば従業員が少なくても生産性上げられるし、工賃を低く抑えても高い給料が支払える!」みたいに考える有能な業者さんが誕生します。そうするとそういった業者さんに仕事が流れるようになります。

縫製工賃が上がる→儲かる業界と注目される→競争が生じやすくなる。そういう流れでも機械化・自動化は進みます。

AIに質問したい

ちなみに、ボビンがいらない本縫いミシンってないかしらと考えることってありませんか。下糸なくなるのを交換するのって面倒ですよね。

難しいんですね…。でももしAIが発達して自分で学習を始めたら…。ネット上にある論文や意見を言語問わず勝手に収集して、人間の質問に答えることができるようになったら…。そういうプログラム、もうすでにあるようですがもっと精度を上げたやつ。

そういうのができたら

縫製太郎
縫製太郎

ボビンがいらない本縫いミシンってできないの?

って質問したいです。

AI
AI

いや無理

って答えるかもしれませんし

AI
AI

できますヨ

って答えるかもしれません。将棋のAIみたいにとんでもない発想で提案してくるんじゃないかと期待。AIコンサル。

あ、でもそれより先に誰かが「ドラえもん作れませんか?」って質問して、縫製もできる汎用ロボットを作っちゃうか…。

DXの先

服作りってアナログな世界で、デジタル化が進みにくいと感じていたんですけど、今後縫製工賃が上がればそれも変わっていくのかな、と。

先日マツコの知らない世界というテレビ番組で、漫画の背景について紹介する日がありまして。その時マツコさんがデジタルで省力化して描かれた背景について言及してるシーンがありました。

マツコさん
マツコさん

血の通ってない感じ

デジタルについて感じていた部分がこの一言でしっくり腑に落ちました。血が通ってない。それだ。

自動化が進んで効率的になるのもいいのですが、だんだんと無機質な画一性に近づいていくんじゃないかと。

アジア圏の街並みがでっかいショッピングモールばかりになっていくのを見ると服作りもそういう傾向が続くんじゃないかと。というか海外の大きい工場ではもう既にそうなってるのかもしれませんが。

個性的で血の通った服作り

先日アメトーークでジーンズ大好き芸人がやっていて、1着200万円するジーンズを興奮気味に紹介していました。こういう方々がいてくれる間は人が縫う仕事も残っていくとも思いました。

市場規模は小さくなるでしょうが、人が人である限りは手作業の仕事も残り続けます。ニットもホールガーメントのような自動編み機が隆盛を続けるでしょうが、案外ニット縫製より手編みの方が人気でるかもしれませんね。

結局どうなるんだろう

自動化・機械化が進んだ先にどうなるか。まだまだ読めません。ただ、自動化や機械化が進んだ業界はたくさんあります。それら業界の現在が服作りの未来が見えるヒントになるんじゃないかと思います。

私はファッション業界と音楽業界は共通点が多いと考えてます。

DTMによる曲作り、初音ミクによるボーカル、録音機材の低額・高機能・高音質化、高額なビンテージギター…。音楽業界の現状で言えば、曲作りのハードルが下がって才能が出現しやすくなり、事務所やレコード会社を通さず個人で発信ができ、TikTokでその才能の新陳代謝サイクルが早まり、初音ミク曲の人気は限定的で、アナログレコードのニーズが残っている…などなど。扱う商品が物理的に違うわけですから全く同じではないですが、人間の行動パターンとしては共通点があるので、ある程度の予測は立てられるんじゃないかと。

あー乱文失礼。

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