前例を作るということはルールを作るということ

太郎です。

よく役所は前例主義だと言われます。前例がないからできない。

じゃあ前例を作ればいいじゃないか!世の中のためになんだから勇気出してドンドンやろうよ!…と確かにそうなんです。なんです…けど役所の言い分も理解できます。あんまり役所側のジレンマが報じられることがないので私見を書こうかな、と。

役所は基本法律に従って動きます。もちろん民間企業でも法律は順守するんですけど、そこまで普段の仕事で法律の条文を意識することはありません。でも公的機関は何するにしても法律や規則に基づいて動きます。外部からの質問に答える時以外でも。役所内の他部署の人からお願いごとをされた場合も、それを断るか断らないかは法的根拠を提示して説明すると説得力が増します。そのくらい公的機関というのは法律のパワーが強いです。逆に言うと正確に法的根拠をパッと言える人は公務員に向いてますし、強者です。

ということで法律で色んなことを判断するのが役所なのですが、法律の解釈の仕方によってはグレーな局面も出てきます。

これは法律の文面では限定してないから、上司の一存でOKにできるかもしれない…。どうしよう…。そうだ前例があるかしら

ここで過去に似たような前例があったらスムーズ。

前にOKだったんだからOKでしょう。

通しやすい。

逆に前例がなかったら?

前例をつくるべく担当者が頑張ります。その頑張りには情熱が必要ですし、前例がないことをやるのはノウハウがないので時間と労力がかかります。周りの理解も得る必要があるので、説明していかないといけません。そして実行するには担当者1人の情熱だけではなく、上司だったり、「前例がなくても協力するよ」というチャレンジングな関係者と顔なじみだったりと、その担当者の人徳が問われる局面が続きます。要するに前例がないことを実行するのはしんどい作業なんです。まずこれが一つの壁です。でも、この壁は想像しやすいですよね。

もう一つの壁は、一度前例を作るとそれがルールになるということ。

たった1つの前例でもいざOKになったら、他のケースにも平等に適用しないといけません。

なんであの人はOKなのに同じ条件の俺はダメなのよ!

と言われた場合、断れません。断るのであればちゃんと説明できる根拠が必要になります。

前例っていうのはただの前例じゃないんです。今回だけ特別ね、は通用しないんです。その後も続くルールを作るってことなんです。そういう意味では裁判の判例と似てると言えます。

以上から役所が前例を作ることに対して慎重になるのも一個人としては理解できるんです。

日本の行政は真面目でみんな平等にという意識が強いので前例主義も強いのかもしれません。

うまくいかないルールはその都度小刻みにルールを変えていけばいいんでしょうけど、議会主義で法律や規則を変えるのって大変なんですよね。ころころルールが変わらないのが日本の安定性の源でもあるんですけど。

国の仕組みを変えたいなら

蛇足ですが。日本を変えたい、という動機で公務員になるのはオススメしません。国家公務員のキャリア官僚でも限界があります。国家公務員の醍醐味は国を変えることではなく国が変わる最前線にいることができることだと思います。国を変えたいのであれば国会議員になるのが一番効果的です。河野太郎議員がハンコをなくそうとしたらあっけなく動きだしました。

AIの発達で弁護士や検事の事務作業・文献検索などの業務が減ることが予想されます。弁護士資格をお持ちの方で国を変えたい志のある方に是非国会議員になってほしいなと願っています。競争率が上がれば有権者の選択肢が増えるわけです。有権者が選びたくなる候補者が増えてほしいと思います。

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